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| 雪深い但馬にいつ頃から牛が住んでいたのであろうか。但馬牛のルーツなど興味深いことだが詳らかではない。 その昔、牛が人間の仲間となった(家畜化)のは、犬・山羊・豚に次いで4番目で、およそ今から7・8000年以前と言われている。西アジアの農耕民族が神様にお供えする犠牲の野牛を常備することから家畜化されたという。 |
和牛の祖先は、西アジアに分布していたヨーロッパ原牛(Bos primigenius)が家畜化されて大陸中央部・中国北部・朝鮮半島を経て西日本に渡来し、定住農耕民族のもつ家畜として飼養分布をひろげ分化してきたものと考えられている。そのことは、日本の牛についての血液型や蛋白・酵素型の遺伝子構成も調査から、台湾や東南アジア系の牛より、ヨーロッパ系のうし品種によく似ていること、又、世界の家畜うしの染色体の形状から、ヨーロッパ牛と同じであることから、和牛の祖先が北方系であるといわれている。 |
| 1.本邦で古くから飼っている牛を「和牛」と呼び、3つの品種からなる。 黒毛和種:和牛の90%を占め、九州・東北・北海道に多い。 褐色和種:約、10%弱 熊本・高知で飼っている。発育が早く飼いやすい。 無角和種:山口県の一部萩市を中心に小頭数飼っている。太り易いが肉質に難。 |
「但馬牛」とは但馬地方で生産される黒毛和種の総称である。その種牛の主たる生産地は美方郡で、その頭数はわずか2,000頭余に過ぎないが我国の黒毛和種の改良に及ぼした影響は計り知れないものがある。県内の繁殖和牛はすべて「但馬牛」である。 |
| | | 淡路 | 但馬 | 丹波 | 播州 | | | | 繁殖母牛 | 18,000頭 | 65 | 21 | 9 | 5 | % | 肥育牛 | 70,000頭 | 38 | 9 | 12 | 41 | % |
| 1.性質が温順で 肢蹄が強く 使いやすい。 「全ての家畜は飼い主に似る」 (但馬人=控えめ・温かさ・粘り気) 2.長寿・連産系で子育てが上手である。 「牛は山で作り 草で飼う」 牛に適合した自然 草種の多いこと。薬草・水など 子牛を産まない母牛は但馬では飼わない。 3.粗食に耐へて 太りやすく 美味しい牛肉を生産する。 ・骨が細く歩留がよい。・皮下脂肪がうすい。・肉の中に入り込む脂肪。 4.但馬牛のもつ特質を母から子へ 子から孫へきちんと遺伝する能力をもつ |
| 「但馬」の語源は「谷間」に通じるという。交通不便な山にとざされた環境である、その谷間。谷間で自然発生的に近親繁殖が繰り返され、特色ある形質が固定されていったと考えられる。その最たるものが「つる牛」である。 「つる牛」とは、植物のつるからきた言葉である。蔓をたぐりよせると、その枝葉末節までが明らかであるように、その牛の血筋が明らかで同じ血統に属する牛を「つる牛」と呼び市場で高い評価を得ていた。 |
| 「但ツル牛造成の要因 1.換金作物として「牛」以外になかった。 2.その年にできた一番優秀な牝仔牛を地域内に保留し繁殖母牛とした。 3.牛の個体識別が明確なこと。(血筋) 4.「牛キチ」の存在・牛の良否を判別できるリーダーの存在。 |
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